2016年6月6日月曜日

営業時間はお客様との大切な約束

僕の古い無印良品の自転車は、年に一回はパンクする。
今年もさっそく前輪が萎んだ。


いつもお世話になっている近所の小さなサイクルショップに、10時開店をホームページで確認して、10時をめがけて出かけた。

自転車を押してたどり着くと、「本日10時半開店」と貼り紙がしてあった。
そのまま自転車を押して帰ってきた。


調べるだけではなくて、電話もすればよかったのかもしれない。
しかし、それではあなたが掲げた営業時間は信用できないので、と言っていることになってしまう。
個人でやっていれば、どうしても繰り合わせのつかない用事ができてしまうこともある。
そんな時、休まざるを得ない店主はお客様にとても申し訳なく思っているものだ。
電話をしてわざわざ謝らせることもないだろう。
日を改めて行けばいいことだ。


それにつけても営業時間というのは、顧客と我々の基本的な「約束」なんだと思う。

2007年に開業した頃、僕もそのことがよくわかっていなくて、製造量の調節のためなどに時折営業時間を短縮したりしていた。
ある日、遠くからわざわざいらしたお客様からメールを戴き、この約束はとても大切なものだと気が付いた。

それでもやむなくその約束を違えざるを得ない状況というものはある。
小学校の運動会などは、親が食事を届けるということがプログラムとして組み込まれているので、どうにもならない。
なるべく店を閉めている時間を短くしようと、午前中だけお休みをいただいて、お弁当を届けて、午後から開店したりした。

そこまでしても、娘が小学校を卒業して3年以上経った今でも、他の日には何年も来ないのにわざわざ運動会の日を選んでやって来て、今日は運動会だから休みだと思ったわ、などと皮肉を言いに来るお客様もいらっしゃるくらいだ。
きっと閉めていた二時間の間にいらっしゃって、がっかりされたことがある方なのだろう。


個人で事業を営むことが難しい時代なんだと思う。
システマティックなビジネスモデルで運営された、便利で洗練されたサーヴィスに慣れた人たちは、個人の手によって作り出される温かいが、その代償としてお客様にも少しの不便を分けあっていただくぎこちない振る舞いに我慢できなくなるのかもしれない。

さいわい、わたしたちには、そのようなぎこちなさもこの店の魅力だと言ってくださるお客様がたくさんいらっしゃる。
大変ありがたい事だと思っております。
ですがそれに甘えず、営業時間はお客様との大切な約束であることを肝に命じてやってまいります。