最近お客さまに、白いペーパーは漂白剤の匂いが気になるので無漂白のもの(みさらし)の方がいいですよね?と訊かれた。
そう、世の中には白いペーパーフィルターと茶色のペーパーフィルターが存在する。
一般的に同じブランドのものだと無漂白の方が少し高価なので、そちらのほうがいい、という先入観を産むのだろうか。
なぜ無漂白のほうが高価なのか。
それは、木材からリグニンという物質を取り去るために、漂白剤ではなく、大量の水で洗い流すためコストが嵩むからだという。
そうしてなお、取りきれず残ったリグニンの色があの「茶色」なのである。
まず今回の話の起点となった「匂い」についてだが、その意味では無漂白ペーパーフィルターにこそ「木」の匂いが残っている。
漂白されたペーパーフィルターに「匂い」がありそうな気がするのは、おそらく「漂白」という名称から次亜塩素酸ナトリウムの匂いを連想しているのかもしれない。
しかし現在、(ペーパーフィルターに限らず)紙を塩素漂白で白くしているところはほとんどないのだ。
漂白の過程で生成される有機塩素化合物がダイオキシンの原因物質となるため、世界的に酸素系漂白法への転換が進んでいるのである。
ということは、むしろ匂いが気になるのは無漂白パルプから作られたものではないだろうか。
件のお客さまは、匂いが気になるので白いペーパーを使う時には抽出前にお湯をかけたほうがいいか、と重ねて訊いたが、むしろ無漂白のペーパーをお使いのかたは、使用前にお湯をかけてみてほしい。
ものによっては、溶け出したリグニンが混じった茶色いお湯が出てくるはずだ。
パルプの酸素漂白への転換がはじまったのは、比較的最近のことで、1998年頃だそうだ。
それ以前の時期に、健康志向の高まりに合わせて無漂白ペーパーフィルターが生まれた。
すでにほぼ酸素漂白への転換が終わった今もこれが残っているのは、ひとえに「味が違う」からである。
無漂白パルプから生まれる紙はリグニンが残っているため丈夫で、重い物を入れる袋などに使われる。
残存リグニンから出るかすかな木の香りと、緊密な紙質が抽出に影響を与えるのだろう。
その差は微々たるものかもしれないが、微々たる違いを追い込んでこその趣味とも言える。
しかし木を見て森を見ず、になっては面倒な手数をかけてコーヒーを淹れる甲斐がない。
焙煎によって生じた多くの香味成分の複雑なバランスを、なるべく純粋な形で味わうならやはり、ペーパーは漂白されたペーパーのほうがいいと思う。
2018年1月22日月曜日
2018年1月2日火曜日
あけましておめでとうございます
あけましておめでとうございます。
今年も2日より営業をはじめました。
よろしくお願いいたします。
店を始める前は3年に一度くらいイタリアに行っていたので、コーヒーの修行を始めた時もエスプレッソは必須だろうと思い、堀口珈琲工房さんのエスプレッソ教室に行ってみた。
そこで出会ったのが、パヴォーニの手動式エスプレッソマシンだった。
007の映画でジェームス・ボンドがコーヒーを淹れるのに使っていたのを思い出して自分でも買ってみたが、絶対的ワンオペの個人店では運用が難しいし、コーヒーの味の複雑さがわかってくるとエスプレッソなんかは飲めなくなるもので、自分も興味を持てなくなって今はもっぱら飾りとなっている。
時折このエスプレッソマシンをきっかけに007の話になったりするから、どの映画に出てたんだったか確かめようと順番に観ていったことがある。
僕の記憶の中ではこのマシンを使っていたのは絶対にショーン・コネリーだったわけだが、ショーン・コネリー期の作品には該当するシーンが見当たらなかった。
意地になってロジャー・ムーア期のものにあたってみると、主演交代の一作目「死ぬのは奴らだ」の冒頭に出て来るではないか。
ぜったいにそうだと思っていた強固な記憶が、実はそうではなかった、ということは、この歳になって同窓会なんかに出席するとよく出くわす案件だが、別に悪いことでもないと思う。
それはきっと、たくさんの経験がいろいろに作用しあって、他の誰とも違う今の自分が出来ているという証なのであって、その自分にしか出来ないことがきっとあるということだと思うから。
今年もいろいろ記憶違いからいい加減なことを言うと思いますが、その分だけ<ここにしかない>度の高い味をご提供していきたいと思っています。
ぜひよろしくお願いいたします。
今年も2日より営業をはじめました。
よろしくお願いいたします。
店を始める前は3年に一度くらいイタリアに行っていたので、コーヒーの修行を始めた時もエスプレッソは必須だろうと思い、堀口珈琲工房さんのエスプレッソ教室に行ってみた。
そこで出会ったのが、パヴォーニの手動式エスプレッソマシンだった。
007の映画でジェームス・ボンドがコーヒーを淹れるのに使っていたのを思い出して自分でも買ってみたが、絶対的ワンオペの個人店では運用が難しいし、コーヒーの味の複雑さがわかってくるとエスプレッソなんかは飲めなくなるもので、自分も興味を持てなくなって今はもっぱら飾りとなっている。
時折このエスプレッソマシンをきっかけに007の話になったりするから、どの映画に出てたんだったか確かめようと順番に観ていったことがある。
僕の記憶の中ではこのマシンを使っていたのは絶対にショーン・コネリーだったわけだが、ショーン・コネリー期の作品には該当するシーンが見当たらなかった。
意地になってロジャー・ムーア期のものにあたってみると、主演交代の一作目「死ぬのは奴らだ」の冒頭に出て来るではないか。
ぜったいにそうだと思っていた強固な記憶が、実はそうではなかった、ということは、この歳になって同窓会なんかに出席するとよく出くわす案件だが、別に悪いことでもないと思う。
それはきっと、たくさんの経験がいろいろに作用しあって、他の誰とも違う今の自分が出来ているという証なのであって、その自分にしか出来ないことがきっとあるということだと思うから。
今年もいろいろ記憶違いからいい加減なことを言うと思いますが、その分だけ<ここにしかない>度の高い味をご提供していきたいと思っています。
ぜひよろしくお願いいたします。
2017年8月25日金曜日
オリジンとオリジナリティ
19世紀中頃のフランスで生まれたシブースト・クリームは、カスタードクリームとゼラチンとイタリアン・メレンゲを合わせ、ふんわりした食感をケーキの世界にもたらした画期的なクリームです。
現代でケーキによく使われるようになったムース・ババロア系の原型ともいえるものです。
代表的なケーキが、その名も「シブースト」
うちでは「りんごのシブスト」の名前で、秋から冬にかけてお作りしています。
そして今日は同時に、その直系の発展形「ババロア」もお出ししています。
「マスカルポーネチーズとレモンのババロア」です。
ケーキにも歴史があります。
個人の才能によって表出されると思われがちなオリジナリティも、実際には長い時間をかけて積み上げられた先人の業績の上に築かれているんだなあ、と感じます。
現代でケーキによく使われるようになったムース・ババロア系の原型ともいえるものです。
代表的なケーキが、その名も「シブースト」
うちでは「りんごのシブスト」の名前で、秋から冬にかけてお作りしています。
| りんごのシブスト |
「マスカルポーネチーズとレモンのババロア」です。
| マスカルポーネチーズとレモンのババロア |
個人の才能によって表出されると思われがちなオリジナリティも、実際には長い時間をかけて積み上げられた先人の業績の上に築かれているんだなあ、と感じます。
2017年8月24日木曜日
すべては鮮度のために
今日は不安定な天気の札幌です。
雨の日はすこし仕上がりがスモーキーになるような気がして、焙煎は避けるのですが、さすがに看板ブレンドが品切れでは営業できません。
ジリオブレンドを構成する「エチオピア」「タンザニア」「パプアニューギニア」を焙煎しました。
豆の選択は、いろいろ試行錯誤をして、結局三種とも、最後の焙煎の師匠中野弘志さんの教えてくださった豆になりました。
他の焙煎所で教えていただいた豆は、いいものもあったのですが一般に供給の安定度が低く、代わりの豆を選んではその都度焙煎度の調整をしなくてはなりませんし、思った味にならないものもありました。
その点、この三ブランドは、この10年概ね安定した供給を受けられています。
鮮度のことを考えると、少しずつブレンドして、ストレート用の豆がなくなった時にブレンドの中に混ぜ込んだ古い豆が残らないようにしています。
ゆえに、ご注文いただいてから、やおらブレンドをはじめたりして少し時間がかかることがありますが、すべては鮮度のためにやっていることですのでご容赦ください。
雨の日はすこし仕上がりがスモーキーになるような気がして、焙煎は避けるのですが、さすがに看板ブレンドが品切れでは営業できません。
ジリオブレンドを構成する「エチオピア」「タンザニア」「パプアニューギニア」を焙煎しました。
| エチオピア イルガチェフェ WASH |
| タンザニア アデラAA |
| パプアニューギニア シグリAA |
他の焙煎所で教えていただいた豆は、いいものもあったのですが一般に供給の安定度が低く、代わりの豆を選んではその都度焙煎度の調整をしなくてはなりませんし、思った味にならないものもありました。
その点、この三ブランドは、この10年概ね安定した供給を受けられています。
鮮度のことを考えると、少しずつブレンドして、ストレート用の豆がなくなった時にブレンドの中に混ぜ込んだ古い豆が残らないようにしています。
ゆえに、ご注文いただいてから、やおらブレンドをはじめたりして少し時間がかかることがありますが、すべては鮮度のためにやっていることですのでご容赦ください。
2017年8月23日水曜日
面陳と背刺し
昨日の肌寒い雨で夏も終わったか、と思ったらさっそく厳しい残暑の札幌です。
今朝は「マラウイ」と「エルサルバドル」の焙煎をしておりました。
マラウイはアフリカはタンザニアの東隣に位置する小国です。
パナマのエスメラルダ農園で、耳慣れない「ゲイシャ」という品種の豆がカップ・オブ・エクセレンスを受賞して話題になりましたが、そのずっと前からゲイシャ種を栽培していた国です。
もとは、エチオピアのゲシャ村で発見された変異種ですね。
古い品種ならではのパンチの効いた味が魅力です。
グァテマラの隣国エルサルバドルのサンタ・リタ農園は、中米ではもう作っているところの少なくなったブルボン種を丁寧に作り続けている数少ない農園のひとつ。最近ハイブリッドの栽培品種が増え、味の濁りが感じられるようになったグァテマラのセカンド・チョイスとしてお勧めできます。
この二種のコーヒーは今年のカフェジリオ開店10周年記念リニューアルで、新たにレギュラー入りした豆なのですが、それまでも月替りで特設コーナーに置いて販売していました。
不思議なことに、出せば必ず買っていかれたお客さまも、なぜかレギュラー商品になると、ご案内してもお買いにならなくなります。
書店ではよく知られる「面陳」効果です。
棚に陳列するさい、表紙が見えるように並べるのを「面陳」、背表紙が見えるように並べるのを「背刺し」といいますが、こんなことで驚くほど売れ行きが違うそうです。
先日もレンタルDVD店で、中井貴一さんの「グッドモーニング・ショー」という映画が新作コーナーに面陳されていて、それがいつ行っても全巻レンタル中でした。
こんなに人気があるならもっと入荷すればいいのに、と思っていたのですが、二週間後背刺しに移行した瞬間から一巻も借りられていない、という気の毒にもわかり易すぎる結果になっていました。
純粋に味だけでコーヒーを選んで欲しい、という想いから原価にかかわらず価格だって500円に統一しているのです。面陳だから売れる、というのでは悲しい。
きっとその肝心の味がうまく伝えられていないのでしょう。
しかし、これが難しい。
コーヒーの神様、と呼ばれた襟立氏(伝説の名店「もか」の標さんのお師匠さん)のご長男がやっておられた宮の森の「リヒト」(現在は閉店)では、すべてのコーヒー豆の説明書きに、「苦くも酸っぱくもありません」とだけ書かれていました。
知れば知る程、言葉にできなくなるのが珈琲の味なんです。
ましてや酸っぱいとか苦いとかは、焙煎度の差に過ぎず、本来のコーヒーの属性ではない。
今は、「ローストナッツ」や「チョコレート」「花」「柑橘」といったアロマの傾向で表現するのが主流ですが、これも飲み慣れない人には伝わりにくいですし、少なくない人がそういうフレーバーを付けたコーヒーと勘違いされたりします。なにかうまい方法はないものか、もう少し考えてみたいと思います。
今朝は「マラウイ」と「エルサルバドル」の焙煎をしておりました。
| マラウイ・ミスク・チノンゴAA |
| エルサルバドル・サンタ・リタ農園 |
パナマのエスメラルダ農園で、耳慣れない「ゲイシャ」という品種の豆がカップ・オブ・エクセレンスを受賞して話題になりましたが、そのずっと前からゲイシャ種を栽培していた国です。
もとは、エチオピアのゲシャ村で発見された変異種ですね。
古い品種ならではのパンチの効いた味が魅力です。
グァテマラの隣国エルサルバドルのサンタ・リタ農園は、中米ではもう作っているところの少なくなったブルボン種を丁寧に作り続けている数少ない農園のひとつ。最近ハイブリッドの栽培品種が増え、味の濁りが感じられるようになったグァテマラのセカンド・チョイスとしてお勧めできます。
この二種のコーヒーは今年のカフェジリオ開店10周年記念リニューアルで、新たにレギュラー入りした豆なのですが、それまでも月替りで特設コーナーに置いて販売していました。
不思議なことに、出せば必ず買っていかれたお客さまも、なぜかレギュラー商品になると、ご案内してもお買いにならなくなります。
書店ではよく知られる「面陳」効果です。
棚に陳列するさい、表紙が見えるように並べるのを「面陳」、背表紙が見えるように並べるのを「背刺し」といいますが、こんなことで驚くほど売れ行きが違うそうです。
先日もレンタルDVD店で、中井貴一さんの「グッドモーニング・ショー」という映画が新作コーナーに面陳されていて、それがいつ行っても全巻レンタル中でした。
こんなに人気があるならもっと入荷すればいいのに、と思っていたのですが、二週間後背刺しに移行した瞬間から一巻も借りられていない、という気の毒にもわかり易すぎる結果になっていました。
純粋に味だけでコーヒーを選んで欲しい、という想いから原価にかかわらず価格だって500円に統一しているのです。面陳だから売れる、というのでは悲しい。
きっとその肝心の味がうまく伝えられていないのでしょう。
しかし、これが難しい。
コーヒーの神様、と呼ばれた襟立氏(伝説の名店「もか」の標さんのお師匠さん)のご長男がやっておられた宮の森の「リヒト」(現在は閉店)では、すべてのコーヒー豆の説明書きに、「苦くも酸っぱくもありません」とだけ書かれていました。
知れば知る程、言葉にできなくなるのが珈琲の味なんです。
ましてや酸っぱいとか苦いとかは、焙煎度の差に過ぎず、本来のコーヒーの属性ではない。
今は、「ローストナッツ」や「チョコレート」「花」「柑橘」といったアロマの傾向で表現するのが主流ですが、これも飲み慣れない人には伝わりにくいですし、少なくない人がそういうフレーバーを付けたコーヒーと勘違いされたりします。なにかうまい方法はないものか、もう少し考えてみたいと思います。
2017年7月15日土曜日
ミルなら、KalitaのナイスカットGを買えばいいと思うよ
コーヒーのことでお客さまから質問を受けることが多い。
一番多いのは、抽出のための器具のことだが、時々、ミルはどれがいいでしょうという質問を受ける。
2007年に開店してしばらくの間、この質問には簡単に答えることができた。
実際お店で自分が使っていたこの製品は、 そのくらい優れていた。
詳しくはこちらの記事を
ちょっと話は逸れるが、お店をやっていてこのセリフを何度聞いたか、考えると憂鬱になる。
主に乳製品でこのセリフをよく聞いた。
オーム乳業のクレーム・ドゥーブル、牧家の牛乳「草香る」、森永の「FH40」生クリーム・・・
みな口を揃えて「売れば売るほど赤字になる」と言ったものだ。
もしそれが本当の理由なら最適解は「値上げ」をすることだろうから、実際は、工場運営の問題や、原材料の安定的確保などの問題などが複合的にあって、廃番に踏み切ったのだろう。
でもそんな現実的で世知辛い話よりは、企業の良心をアピールできる「売れば売るほど赤字になる」のほうが、言う方も楽だし、耳にも心地よい。
聞き流してあげるのが大人というものだ。
話を戻す。
カリタがナイスカットミルをやめて、出した商品がナイスカットミル・ネクストGで、静電気除去装置付で、正価では約6万円。
とうてい家庭用に簡単に買える金額ではなく、業務用としても少し躊躇する。
当然市場は、反発。ナイスカットミルのストレートな後継機を待ち望んでいた。
そして、
そして、
そしてやっと、
やっと出ました、後継機。ナイスカットGです。
わー、パチパチパチ。
これで「あのー、ミルは・・」と聞かれたとき、にっこり笑って、
すでに実売3万円を切っていますね。
前モデルは最安で2万円弱までいきましたが、そうなるとまたヤメルとか言い出すから、適正価格で長く販売してほしいです。
で、タイミングよく、東京の知人からTwitterのDMでミルの質問があったので、ナイスカットGをお勧めしたらさっそく買って、大満足だそうです。
よかった、よかった。
一番多いのは、抽出のための器具のことだが、時々、ミルはどれがいいでしょうという質問を受ける。
2007年に開店してしばらくの間、この質問には簡単に答えることができた。
Kalitaのナイスカットミルを買ってください。これでオーケー。
実際お店で自分が使っていたこの製品は、 そのくらい優れていた。
詳しくはこちらの記事を
→コーヒーエンジニアリングの時代と、アイスコーヒーの真理
ところがこの製品、売れば売るほど赤字になるというよく聞く理由で廃番になってしまった。
ちょっと話は逸れるが、お店をやっていてこのセリフを何度聞いたか、考えると憂鬱になる。
主に乳製品でこのセリフをよく聞いた。
オーム乳業のクレーム・ドゥーブル、牧家の牛乳「草香る」、森永の「FH40」生クリーム・・・
みな口を揃えて「売れば売るほど赤字になる」と言ったものだ。
もしそれが本当の理由なら最適解は「値上げ」をすることだろうから、実際は、工場運営の問題や、原材料の安定的確保などの問題などが複合的にあって、廃番に踏み切ったのだろう。
でもそんな現実的で世知辛い話よりは、企業の良心をアピールできる「売れば売るほど赤字になる」のほうが、言う方も楽だし、耳にも心地よい。
聞き流してあげるのが大人というものだ。
話を戻す。
カリタがナイスカットミルをやめて、出した商品がナイスカットミル・ネクストGで、静電気除去装置付で、正価では約6万円。
とうてい家庭用に簡単に買える金額ではなく、業務用としても少し躊躇する。
Kalita (カリタ)
売り上げランキング: 20,453
売り上げランキング: 20,453
当然市場は、反発。ナイスカットミルのストレートな後継機を待ち望んでいた。
そして、
そして、
そしてやっと、
やっと出ました、後継機。ナイスカットGです。
Kalita (カリタ) (2017-03-13)
売り上げランキング: 14,654
売り上げランキング: 14,654
わー、パチパチパチ。
これで「あのー、ミルは・・」と聞かれたとき、にっこり笑って、
カリタのナイスカットGを買ってくださいと言える。
すでに実売3万円を切っていますね。
前モデルは最安で2万円弱までいきましたが、そうなるとまたヤメルとか言い出すから、適正価格で長く販売してほしいです。
で、タイミングよく、東京の知人からTwitterのDMでミルの質問があったので、ナイスカットGをお勧めしたらさっそく買って、大満足だそうです。
よかった、よかった。
2017年7月6日木曜日
こむら返り part-2
以前、このブログでこむら返りについて書いた。
→2014.10.15「こむら返り」
そこでも引用したが、こむら返りの原因にはいろいろあって、個々の特定は難しいがその正体を煎じ詰めて言うなら、
引用した元記事では、その予防法として、
おかげでずいぶん頻度は落ちたが、それでも時々痙攣の予兆に襲われることがある。
たいへん有り難いことだが、お店には私なんぞと話をしたくて訪れてくださるお客さまがいらっしゃって、短い方でも30分から1時間。長い方だと3時間にわたってお話される方も。
一日に数名重なると、けっこうな時間立ちっぱなしになって、そんな夜はストレッチなどをしておくよう心がけるが、それでもこむら返りが起きたりする。
しかし、人間の体というのは凄いものだ。
そんな時にも、意識の外で自然に対処法を編み出してしまう。
ある夜、こむら返りの予兆を感じて目が覚めた時、ほとんど何も考えずにベッドの横にすっと直立姿勢のまま降りたら、そのまま「すうっ」と音もなくこむら返りの予兆が去っていったのだ。
もちろん医学的な根拠などわからない。
しかし、前出の記事にも
睡眠中に予兆を感じ取って行動に移せるか、というところに難しさはあるが、それ以降、なんどもこの「直立姿勢でベッドから降りる」というシンプルな対処がこむら返りを未然に防いでくれた。
布団で寝ている人には使えないという難点もあるし、そもそも万人に効く対処はないということだから、 やってみたが効果がなかったというクレームにはお応えしかねるが、あくまでも個人的体験として、こむら返りが持つ、「神経の誤作動が自分を裏切る」という恐怖感から解放された喜びについて述べさせていただいた。
御清聴ありがとうございました。
→2014.10.15「こむら返り」
そこでも引用したが、こむら返りの原因にはいろいろあって、個々の特定は難しいがその正体を煎じ詰めて言うなら、
運動中のこむら返りは、脳から出された信号が運動神経に伝達される過程で異常を起こし、筋肉が過剰に収縮してしまうことが原因ですが、睡眠中の場合も同様のメカニズムで発生します。(http://atakin.jp/e00koram/e04komura.html)こういうことでいいと思う。
引用した元記事では、その予防法として、
水分や電化質や塩分の補給も重要ですので、飲み物(スポーツドリンクやクエン酸を含んだもの等)で補うとより効果的とあり、Facebookで友人からも同様のアドバイスをもらったこともあって、試してみたらこれがよく効いた。
おかげでずいぶん頻度は落ちたが、それでも時々痙攣の予兆に襲われることがある。
たいへん有り難いことだが、お店には私なんぞと話をしたくて訪れてくださるお客さまがいらっしゃって、短い方でも30分から1時間。長い方だと3時間にわたってお話される方も。
一日に数名重なると、けっこうな時間立ちっぱなしになって、そんな夜はストレッチなどをしておくよう心がけるが、それでもこむら返りが起きたりする。
しかし、人間の体というのは凄いものだ。
そんな時にも、意識の外で自然に対処法を編み出してしまう。
ある夜、こむら返りの予兆を感じて目が覚めた時、ほとんど何も考えずにベッドの横にすっと直立姿勢のまま降りたら、そのまま「すうっ」と音もなくこむら返りの予兆が去っていったのだ。
もちろん医学的な根拠などわからない。
しかし、前出の記事にも
夜間の睡眠中に起こるこむら返りですが、睡眠中は脚が伸びてふくらはぎの部分が収縮している状態になっているので、運動神経の誤動作によってこむら返りが起きやすい状態になっています。とあるので、この「起きやすい」状況が解消されることが一義的には効いているのだろう。
睡眠中に予兆を感じ取って行動に移せるか、というところに難しさはあるが、それ以降、なんどもこの「直立姿勢でベッドから降りる」というシンプルな対処がこむら返りを未然に防いでくれた。
布団で寝ている人には使えないという難点もあるし、そもそも万人に効く対処はないということだから、 やってみたが効果がなかったというクレームにはお応えしかねるが、あくまでも個人的体験として、こむら返りが持つ、「神経の誤作動が自分を裏切る」という恐怖感から解放された喜びについて述べさせていただいた。
御清聴ありがとうございました。
2017年6月28日水曜日
焙煎のこと
美味しいコーヒーを淹れるための第一歩は、良い豆を手に入れることに尽きる。
では「良い豆」とは何か。
鮮度の問題は大きい。
焙煎によって作られた香味成分は日を追うにつれて分解していってしまうからで、一週間も経てば半分以上が無くなってしまう。
しかし、ということは、そもそもその香味成分が上手く焙煎によって焼成されていなければ、最初から話にならないというだ。
というわけで、良い豆のもっとも重要な要件は上手に焙煎された豆である、とここでは定義してしまおう。
何が上手な焙煎かということに関しては、ここまでの論展開で明らかなように、豆が持つ香味成分を最大限に焼成できていること、と決まる。
調理の基本に照らせば、豆の加熱の肝は、ひとつの鍋(焙煎の場合には釜)に加える総熱量と、一つ一つの豆の中心部まで熱が届くまでのスピードが、どうバランスしているか、ということになる。
このバランスを取るために媒介としての液体(水であったり、スープだったり)の量や浸透性を調整したり、鍋の形状や素材などを工夫してきたのが調理の歴史である。
コーヒー豆の場合はシンプルで、そもそも水に入れるわけにはいかないのだから、そのまま加熱するしかない。
調整のための媒介を介在させられない、というところがコーヒー豆の焙煎が難しいところなのだ。
またコーヒー豆はとても硬いので、火が通りにくい。全体の熱量をかなり高くする必要があるのだ。
だから普通に鍋で加熱でもしようものなら、表面が焦げて芯が生のまま、という豆が出来上がる。
そのために回転ドラムの中で豆を泳がせ、空気で加熱するという焙煎機の原理が生まれたわけだ。
普通に考えれば、与えるべき熱量と豆の中心まで熱が入るスピードを調整するためには火力を調整すればいい、ということになるだろうが、それもそう簡単にはいかない事情がある。
必要な熱量を与えるのに、時間を長く取る、つまり弱火に頼る、ということがコーヒー豆の焙煎では出来ないのだ。
それは800種類もの香味成分を焼成させる焙煎では、デンプンをアルファ化するような、火が通ればいいという単純さを適用できないからだ。
どうしても一定の強い火力で炙る過程が必要になる。
くどくどと書いてきたわりに結論がシンプルでまったく恐縮なのだが、つまり、焙煎はまとまった量でやらないと美味しくならないのである。
だからといって大量に焙煎すると、鮮度が落ちて、スカスカな味のコーヒーを売ることになってしまう。
だから芯残りのない焙煎のできる最少量を試行錯誤で探って日々焙煎しているのです。
今のところ、9種類の豆をそれぞれ1キロずつ焙煎していく、というのが味と販売量のバランス点になっているようです。
では「良い豆」とは何か。
鮮度の問題は大きい。
焙煎によって作られた香味成分は日を追うにつれて分解していってしまうからで、一週間も経てば半分以上が無くなってしまう。
しかし、ということは、そもそもその香味成分が上手く焙煎によって焼成されていなければ、最初から話にならないというだ。
というわけで、良い豆のもっとも重要な要件は上手に焙煎された豆である、とここでは定義してしまおう。
何が上手な焙煎かということに関しては、ここまでの論展開で明らかなように、豆が持つ香味成分を最大限に焼成できていること、と決まる。
調理の基本に照らせば、豆の加熱の肝は、ひとつの鍋(焙煎の場合には釜)に加える総熱量と、一つ一つの豆の中心部まで熱が届くまでのスピードが、どうバランスしているか、ということになる。
このバランスを取るために媒介としての液体(水であったり、スープだったり)の量や浸透性を調整したり、鍋の形状や素材などを工夫してきたのが調理の歴史である。
コーヒー豆の場合はシンプルで、そもそも水に入れるわけにはいかないのだから、そのまま加熱するしかない。
調整のための媒介を介在させられない、というところがコーヒー豆の焙煎が難しいところなのだ。
またコーヒー豆はとても硬いので、火が通りにくい。全体の熱量をかなり高くする必要があるのだ。
だから普通に鍋で加熱でもしようものなら、表面が焦げて芯が生のまま、という豆が出来上がる。
そのために回転ドラムの中で豆を泳がせ、空気で加熱するという焙煎機の原理が生まれたわけだ。
普通に考えれば、与えるべき熱量と豆の中心まで熱が入るスピードを調整するためには火力を調整すればいい、ということになるだろうが、それもそう簡単にはいかない事情がある。
必要な熱量を与えるのに、時間を長く取る、つまり弱火に頼る、ということがコーヒー豆の焙煎では出来ないのだ。
それは800種類もの香味成分を焼成させる焙煎では、デンプンをアルファ化するような、火が通ればいいという単純さを適用できないからだ。
どうしても一定の強い火力で炙る過程が必要になる。
くどくどと書いてきたわりに結論がシンプルでまったく恐縮なのだが、つまり、焙煎はまとまった量でやらないと美味しくならないのである。
だからといって大量に焙煎すると、鮮度が落ちて、スカスカな味のコーヒーを売ることになってしまう。
だから芯残りのない焙煎のできる最少量を試行錯誤で探って日々焙煎しているのです。
今のところ、9種類の豆をそれぞれ1キロずつ焙煎していく、というのが味と販売量のバランス点になっているようです。
2017年5月16日火曜日
時間旅行なんて簡単なのさ
センパイにお借りしている『植草甚一コラージュ日記』を読んでいたら、
ヒサモトというのは、家内が東京で修行した三軒茶屋のお店だが、70年代後半にはまだ田園都市線沿線にたくさんの支店を持っていた時代。
「ヒサモトでコーヒーとケーキ」という記述を見つけた。
ヒサモトというのは、家内が東京で修行した三軒茶屋のお店だが、70年代後半にはまだ田園都市線沿線にたくさんの支店を持っていた時代。
レシピは変わってないから、いまウチで作っているショートケーキを植草甚一さんも召し上がられたのかなあ、などと想像したら、見慣れた店内ごと70年代に運ばれたような気がした。
一瞬でいいなら時間旅行なんてわりと簡単なもんだ。
そういえば、東京でヒサモトのショートケーキのファンだったという人が、わざわざ北海道旅行の旅程にウチの店を組み込んで来てくれたりしてたなあ。
あの人も、もう今はないヒサモトのショートケーキを食べて、時空を超えるオプショナルツアーを体験したってことなんだな、きっと。
一瞬でいいなら時間旅行なんてわりと簡単なもんだ。
そういえば、東京でヒサモトのショートケーキのファンだったという人が、わざわざ北海道旅行の旅程にウチの店を組み込んで来てくれたりしてたなあ。
あの人も、もう今はないヒサモトのショートケーキを食べて、時空を超えるオプショナルツアーを体験したってことなんだな、きっと。
植草 甚一
平凡社
売り上げランキング: 731,172
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2017年4月10日月曜日
喫茶店なのか、カフェなのか
朝ラジオを聴いていたら、鈴木杏樹さんが、喫茶店とカフェの違いについて話していました。
それによると、喫茶店とカフェの「法律的」な違いは、営業許可の種類に基づくものなんだそうです。
「飲食店営業」の営業許可を得ていればカフェで、「喫茶店営業」の営業許可を得ていれば喫茶店というわけ。
で、実際どこが違うのかというと、「アルコールが出せること」というのが番組での解説で、それはその通りなのでしょうが、実際に営業許可を申請してみると、メニューに茶菓以外のものを予定していると「喫茶店営業」では許可が下りなかったりするので、喫茶店ではお食事は出せない、ということも加えていいと思います。
ただし、喫茶店営業の営業許可のお店がカフェを名乗ることも自由ですし、その逆もオッケーなので、このような法律上の区分が、喫茶店とカフェの違いを説明していることにはならない、という気もします。
ナポリタンなんか、むしろ喫茶店を名乗るお店のほうが美味しい、というか雰囲気があるというか。
まあだから、喫茶店とカフェの違いなんてのを考えることにたいして意味はない。
むしろ、やってるほうからみるとファーストフードのマナーしか知らないお客さんが増えてきたことのほうが、「異なり方」として重要(問題じゃなくて)な気がします。
合理的な注文システムで、最小限のコミュニケーションで用が済む。
利便性の高い場所にあって、利用しやすい。
メリットを考えれば、大資本の経営するファーストフード店が日常的に利用されるのは当然です。
経営する側だって、自分でやるよりフランチャイズに加わったほうがリスクが低い。
そんななかで、わざわざ自分の店を作る意味は、煎じ詰めて言えば、やはり自分らしく生きたいから、ということでしょう。
だから、問題は喫茶店なのかカフェなのか、ではなくて、お店一軒一軒の異なり方だと思うんですよね。
音楽とか什器とかからお店の人の嗜好が感じられる空間で、コーヒーなんていう、手で淹れれば、どうしようもなくその人の味になっちゃうものを提供する。
そこで過ごす時間を気に入った人にとっても、その選択じたいが自分らしさの一部になるような、そんなお店。
そういうものにワタシハナリタイ。
それによると、喫茶店とカフェの「法律的」な違いは、営業許可の種類に基づくものなんだそうです。
「飲食店営業」の営業許可を得ていればカフェで、「喫茶店営業」の営業許可を得ていれば喫茶店というわけ。
で、実際どこが違うのかというと、「アルコールが出せること」というのが番組での解説で、それはその通りなのでしょうが、実際に営業許可を申請してみると、メニューに茶菓以外のものを予定していると「喫茶店営業」では許可が下りなかったりするので、喫茶店ではお食事は出せない、ということも加えていいと思います。
ただし、喫茶店営業の営業許可のお店がカフェを名乗ることも自由ですし、その逆もオッケーなので、このような法律上の区分が、喫茶店とカフェの違いを説明していることにはならない、という気もします。
ナポリタンなんか、むしろ喫茶店を名乗るお店のほうが美味しい、というか雰囲気があるというか。
まあだから、喫茶店とカフェの違いなんてのを考えることにたいして意味はない。
むしろ、やってるほうからみるとファーストフードのマナーしか知らないお客さんが増えてきたことのほうが、「異なり方」として重要(問題じゃなくて)な気がします。
合理的な注文システムで、最小限のコミュニケーションで用が済む。
利便性の高い場所にあって、利用しやすい。
メリットを考えれば、大資本の経営するファーストフード店が日常的に利用されるのは当然です。
経営する側だって、自分でやるよりフランチャイズに加わったほうがリスクが低い。
そんななかで、わざわざ自分の店を作る意味は、煎じ詰めて言えば、やはり自分らしく生きたいから、ということでしょう。
だから、問題は喫茶店なのかカフェなのか、ではなくて、お店一軒一軒の異なり方だと思うんですよね。
音楽とか什器とかからお店の人の嗜好が感じられる空間で、コーヒーなんていう、手で淹れれば、どうしようもなくその人の味になっちゃうものを提供する。
そこで過ごす時間を気に入った人にとっても、その選択じたいが自分らしさの一部になるような、そんなお店。
そういうものにワタシハナリタイ。
2017年4月4日火曜日
コーヒーとオーディオはちょっと似ている
この間、お客さまとコーヒーの話をしていてなるほどなー、と思ったのは、
「コーヒーの味ってさ、濃いのがいいとか、苦いとか酸っぱいとかじゃなくて、好きと苦手だよね」
という言葉でした。
栽培品種のセレクトで決まってくる遺伝子の混ざり具合。
抽出の時の温度や器具に起因するアロマの出具合。
はては提供される器が飲む時に生じさせる空気の混じり具合のような微妙な要素まで。
そういうものがからみあって、きっとそういう「好み」が出来上がっている。
こんなの個々の要素を言語化することも多分出来ないし、しても意味がないでしょう。
どうしたって、10人コーヒー屋がいれば、10種類のコーヒーが出来てしまうのです。
だからまあ、好みの店を見つけるしかないと思うんですよね。
それでも、たまに外で人の淹れてくれたコーヒーを飲む機会があると、あとで豆を調べて、品種による味の個性みたいなものを知ることが出来る。
その事自体はすごく楽しいですね。
そんなことを考えていてふと、コーヒーってオーディオに似てるなー、と思いました。
オーディオ装置から出てくる音にもやっぱり「好き」と「苦手」があるんですよね。
僕はアナログレコードを聴いたり、磨いたりするのが好きなんですが、これがけっこう装置によって音が違うんですよ。
特にターンテーブルに動力を伝達する形式に由来する音の違いが、コーヒーのような言語化しにくい「味」の違いのようなものになってるんじゃないか、と思う機会が多いです。
自分が使っているのはエントリークラスのダイレクトドライブ機で、モーターが直接ターンテーブルを回すんですが、はじめて自分のステレオを買ってもらった70年代の終わりから80年代にかけては、日本のメーカーから出ている普及品の多くがこの形式を採用していました。
そういうわけで慣れ親しんだこの形式の音が一番心地よいのかもしれません。
マニアな方の中には、ベルトドライブの方が音がいい、という人も、どうしてもアイドラードライブでなければ、という方もいらっしゃって、親切にも音を聴かせてくださったりします。
僕にはそれらの音が「揺れている」気がして「苦手」なんですが、機器で音が違うという体験自体は面白いわけです。
それにあの揺れている感じが音楽の実体感になっていて、だからそれが「好き」なんだという感覚もちょっとわかる気がするんですよね。
コーヒーに話を戻せば、商売でやっていることだから、職人が好き嫌いでコーヒーを焼くわけにはいかないと思います。
お客さまの嗜好にあったものをご用意できるのが一番だと思う。
それでも、こんな言葉にもならない微妙な感覚が嗜好を決めてしまう世界なら、味を磨き込むにはやはり自分の一番好きな味を追求するしかないでしょう。
この店の場合なら、それがハウスブレンドの「ジリオブレンド」ということになります。
開店した頃は、エチオピアとタンザニアの二種等量配合だったのが、後に重心の低さが欲しくてパプア・ニューギニアのシグリAAという豆にたどり着き、その後も焙煎度の調整を繰り返し、10年かけて磨いてきたブレンドです。
普段はストレートコーヒーを選ばれるお客さまも、贈り物にするときには「ジリオブレンド」を選んでいただくことが多いです。
ああ、わかってくださってるんだな、とそういう時、とても嬉しい気持ちになります。
「コーヒーの味ってさ、濃いのがいいとか、苦いとか酸っぱいとかじゃなくて、好きと苦手だよね」
という言葉でした。
栽培品種のセレクトで決まってくる遺伝子の混ざり具合。
抽出の時の温度や器具に起因するアロマの出具合。
はては提供される器が飲む時に生じさせる空気の混じり具合のような微妙な要素まで。
そういうものがからみあって、きっとそういう「好み」が出来上がっている。
こんなの個々の要素を言語化することも多分出来ないし、しても意味がないでしょう。
どうしたって、10人コーヒー屋がいれば、10種類のコーヒーが出来てしまうのです。
だからまあ、好みの店を見つけるしかないと思うんですよね。
それでも、たまに外で人の淹れてくれたコーヒーを飲む機会があると、あとで豆を調べて、品種による味の個性みたいなものを知ることが出来る。
その事自体はすごく楽しいですね。
そんなことを考えていてふと、コーヒーってオーディオに似てるなー、と思いました。
オーディオ装置から出てくる音にもやっぱり「好き」と「苦手」があるんですよね。
僕はアナログレコードを聴いたり、磨いたりするのが好きなんですが、これがけっこう装置によって音が違うんですよ。
特にターンテーブルに動力を伝達する形式に由来する音の違いが、コーヒーのような言語化しにくい「味」の違いのようなものになってるんじゃないか、と思う機会が多いです。
自分が使っているのはエントリークラスのダイレクトドライブ機で、モーターが直接ターンテーブルを回すんですが、はじめて自分のステレオを買ってもらった70年代の終わりから80年代にかけては、日本のメーカーから出ている普及品の多くがこの形式を採用していました。
そういうわけで慣れ親しんだこの形式の音が一番心地よいのかもしれません。
マニアな方の中には、ベルトドライブの方が音がいい、という人も、どうしてもアイドラードライブでなければ、という方もいらっしゃって、親切にも音を聴かせてくださったりします。
僕にはそれらの音が「揺れている」気がして「苦手」なんですが、機器で音が違うという体験自体は面白いわけです。
それにあの揺れている感じが音楽の実体感になっていて、だからそれが「好き」なんだという感覚もちょっとわかる気がするんですよね。
コーヒーに話を戻せば、商売でやっていることだから、職人が好き嫌いでコーヒーを焼くわけにはいかないと思います。
お客さまの嗜好にあったものをご用意できるのが一番だと思う。
それでも、こんな言葉にもならない微妙な感覚が嗜好を決めてしまう世界なら、味を磨き込むにはやはり自分の一番好きな味を追求するしかないでしょう。
この店の場合なら、それがハウスブレンドの「ジリオブレンド」ということになります。
開店した頃は、エチオピアとタンザニアの二種等量配合だったのが、後に重心の低さが欲しくてパプア・ニューギニアのシグリAAという豆にたどり着き、その後も焙煎度の調整を繰り返し、10年かけて磨いてきたブレンドです。
普段はストレートコーヒーを選ばれるお客さまも、贈り物にするときには「ジリオブレンド」を選んでいただくことが多いです。
ああ、わかってくださってるんだな、とそういう時、とても嬉しい気持ちになります。
2017年4月2日日曜日
カフェジリオ10周年、10年分の経験でやっと新しいブレンドをひとつ作りました。
先月3月21日を持ちまして、カフェジリオも10周年となりました。
10年もやっていれば、それなりに学び、習得した技術もあり、この機に集大成っぽい何か新しいことはできないだろうか、と思い、となればそれは新しいブレンドを作ることしかないだろうと思い当たりました。
珈琲通を自認する人たちはストレートコーヒーを選びがちですが、結局そこで問題になるのは農園と焙煎度だけ。
料理に譬えれば、素材の味と温度と切り方で決まる刺し身を楽しむ態度です。
それはもちろん粋でカッコいい価値観ですが、ソースや様々なスパイス、加熱法などのマリアージュで新しい味の世界を作っていく、広大な料理の世界に背を向けることでもあります。
長いコーヒーの歴史の中で、広がっていった産地の数だけ香味があり、焙煎度を掛けあわせた無限の可能性の中から、新しいコーヒーの味を作っていくブレンドは、(コーヒーだけに)煎じ詰めて言えば、コーヒーを生業にするものの目的そのものであるとも言えます。
というわけですから、ブレンドというのものは、「さて、何か新しいブレンドでも作るか」と言って作るようなものではないのです。
まず何か新しく実現したい味があって、そこに向けて豆を選び焙煎度を調整して作るのでなければ、ただ混ぜてあって、他のコーヒーと味が違うものができるだけ。
そういうものを「自分の作品」としてお店に出して対価をいただくことには強い抵抗があります。
そしてその実現したい味のヒントは、やはりここ10年で出会ったコーヒー豆にあるはずです。
真っ先に頭に浮かんだのは、マラウイのゲイシャ種。
深く焼いても下品にならずに、コクだけが出てくる素性の良さに感心して使っていましたが、最もバランスが良くなるはずのフルシティ(中深煎り)のちょっと手前では強い酸味が残ってしまうため、他のアフリカ豆のような奥行きのある香味が作りにくい豆でした。
焙煎度の吟味に迷っているうちにパナマのエスメラルダ農園が、ゲイシャ種でカップ・オブ・エクセレンスを獲ってしまい、世界中の注目を浴びた「ゲイシャ」という品種。
それまで知る人ぞ知る存在だったマラウイのものまで市場から払底して、一時入手困難になってしまいましたが、世の常でブームはいつか去り、ようやく安定的に入手できるようになっていました。
この機にゲイシャをブレンドで補正して奥行きのある味を作りたい。
これが今回のブレンド作りのメインコンセプトとなりました。
では、その奥行作りのパートナーをどうするか、についてはすぐに思い浮かんだ豆がグァテマラで、苦味と酸味が時間差で出てくるこの豆の独特の味が、このきっとこの補正にはぴったりだろうと。
そしてここ10年でもうひとつ感心した「エルサルバドル」という豆が、グァテマラの隣国であることもすぐに思い付いたところで、これはジリオブレンドというハウスブレンドの基本コンセプトが、エチオピアとタンザニアの質の異なる酸味を掛けあわせて奥行きを得るという考え方によく似ています。
こうして、マラウイ、グァテマラ、エルサルバドルの三種等量配合を試してみたところ、なにしろかなりコクが深いゲイシャの後味にだけ酸味の奥行きをつけるというアクロバットなわけで、やはり焙煎度の調整が難しい。
一週間ほどお客様にも感想をお聞きしながら育てていきました。
名前は「マイルドブレンド」としました。
「マイルド」はコーヒーの世界では「水洗式」を示す符牒です。
コロンビア、ケニア、タンザニアの水洗式ですっきりした酸味を感じさせるコーヒーが欧米の市場で珍重され、ニューヨークの食品相場市場で「コロンビア・マイルド」という独立した区分名を持っています。
しかし今やマイルドの名にふさわしいコロンビアコーヒーは非常に希少で、生産効率の高い替わりに品質に劣る新しい品種への植え替えが進んでいます。
かつて世界で賞賛されたキレのある味を、この新しいブレンドに担って欲しいとの思いで名前を付けました。
10年のご愛顧のご恩返しに精一杯お作りしたつもりです。
新しいブレンドをよろしくお願い致します。
また、次の10年も精一杯精進し、また何か新しい価値を作り出せるよう心をこめてコーヒーを淹れてまいります。
併せてよろしくお願い申し上げます。
10年もやっていれば、それなりに学び、習得した技術もあり、この機に集大成っぽい何か新しいことはできないだろうか、と思い、となればそれは新しいブレンドを作ることしかないだろうと思い当たりました。
珈琲通を自認する人たちはストレートコーヒーを選びがちですが、結局そこで問題になるのは農園と焙煎度だけ。
料理に譬えれば、素材の味と温度と切り方で決まる刺し身を楽しむ態度です。
それはもちろん粋でカッコいい価値観ですが、ソースや様々なスパイス、加熱法などのマリアージュで新しい味の世界を作っていく、広大な料理の世界に背を向けることでもあります。
長いコーヒーの歴史の中で、広がっていった産地の数だけ香味があり、焙煎度を掛けあわせた無限の可能性の中から、新しいコーヒーの味を作っていくブレンドは、(コーヒーだけに)煎じ詰めて言えば、コーヒーを生業にするものの目的そのものであるとも言えます。
というわけですから、ブレンドというのものは、「さて、何か新しいブレンドでも作るか」と言って作るようなものではないのです。
まず何か新しく実現したい味があって、そこに向けて豆を選び焙煎度を調整して作るのでなければ、ただ混ぜてあって、他のコーヒーと味が違うものができるだけ。
そういうものを「自分の作品」としてお店に出して対価をいただくことには強い抵抗があります。
そしてその実現したい味のヒントは、やはりここ10年で出会ったコーヒー豆にあるはずです。
真っ先に頭に浮かんだのは、マラウイのゲイシャ種。
深く焼いても下品にならずに、コクだけが出てくる素性の良さに感心して使っていましたが、最もバランスが良くなるはずのフルシティ(中深煎り)のちょっと手前では強い酸味が残ってしまうため、他のアフリカ豆のような奥行きのある香味が作りにくい豆でした。
焙煎度の吟味に迷っているうちにパナマのエスメラルダ農園が、ゲイシャ種でカップ・オブ・エクセレンスを獲ってしまい、世界中の注目を浴びた「ゲイシャ」という品種。
それまで知る人ぞ知る存在だったマラウイのものまで市場から払底して、一時入手困難になってしまいましたが、世の常でブームはいつか去り、ようやく安定的に入手できるようになっていました。
この機にゲイシャをブレンドで補正して奥行きのある味を作りたい。
これが今回のブレンド作りのメインコンセプトとなりました。
では、その奥行作りのパートナーをどうするか、についてはすぐに思い浮かんだ豆がグァテマラで、苦味と酸味が時間差で出てくるこの豆の独特の味が、このきっとこの補正にはぴったりだろうと。
そしてここ10年でもうひとつ感心した「エルサルバドル」という豆が、グァテマラの隣国であることもすぐに思い付いたところで、これはジリオブレンドというハウスブレンドの基本コンセプトが、エチオピアとタンザニアの質の異なる酸味を掛けあわせて奥行きを得るという考え方によく似ています。
こうして、マラウイ、グァテマラ、エルサルバドルの三種等量配合を試してみたところ、なにしろかなりコクが深いゲイシャの後味にだけ酸味の奥行きをつけるというアクロバットなわけで、やはり焙煎度の調整が難しい。
一週間ほどお客様にも感想をお聞きしながら育てていきました。
名前は「マイルドブレンド」としました。
「マイルド」はコーヒーの世界では「水洗式」を示す符牒です。
コロンビア、ケニア、タンザニアの水洗式ですっきりした酸味を感じさせるコーヒーが欧米の市場で珍重され、ニューヨークの食品相場市場で「コロンビア・マイルド」という独立した区分名を持っています。
しかし今やマイルドの名にふさわしいコロンビアコーヒーは非常に希少で、生産効率の高い替わりに品質に劣る新しい品種への植え替えが進んでいます。
かつて世界で賞賛されたキレのある味を、この新しいブレンドに担って欲しいとの思いで名前を付けました。
10年のご愛顧のご恩返しに精一杯お作りしたつもりです。
新しいブレンドをよろしくお願い致します。
また、次の10年も精一杯精進し、また何か新しい価値を作り出せるよう心をこめてコーヒーを淹れてまいります。
併せてよろしくお願い申し上げます。
2017年3月27日月曜日
Penの最新号がコーヒー特集ですよ
Penの最新号がコーヒー特集ですね。
CCCメディアハウス (2017-03-15)
雑誌のコーヒー特集って、だいたい「美味しいコーヒー」のトレンドはコレだ!みたいな切り口が多かったんですが、それってずいぶん雑なものの見方だなあって思ってたんですよ。
今回のPenは、きっぱりとコーヒーをテーマにしたインテリアやライフスタイルの紹介に徹していて気持ちいいです。
そういう意味では、インテリア特集ともいえる本記事に、中川ワニ夫妻を登場させるという編集が、またいい感じです。
中川ワニさんという人は、決まった店舗は持たずに自宅の一室に焙煎機を置き、全国の喫茶店や個人の方のオーダーに応えて焙煎して販売したり、奥様と一緒に全国を旅してコーヒー教室をやったりという、羨ましいくらい自由なコーヒー職人なんです。
確かに道具には一定のコダワリがありますが、スタイル優先ではありませんし、店舗がないのでインテリア要素はゼロですからね。
広い意味で、その自由なライフスタイルをコーヒーが実現させている、ということなんでしょう。
今回、記事を読むと奥様のお名前が京子さんになっていたんですが、コーヒー修行をしていた頃愛読していたワニさんの奥様の本の著者名は確か・・
そう、ちえさんでした。
改名?それとも離婚なさったんでしょうか。
まあ、どうでもいいですね。コーヒーには何の関係もない。
それと同じくらい焙煎士のこだわりなんぞ、味わう人には関係がないんだよ、と言わんばかりに記事には技術的な話は出てきません。
もともと、美味しいコーヒーを淹れるには、と問われて、
大事なことは
1,新鮮な豆を
2,そのつど挽いて
3,飲む分だけ淹れる
この3つだけです。
と言っていた人ですから。
まあ、実際この3つが揃わなかったら、挽き目とか温度とか器具とかにこだわっても仕方がないというのは本当のことだと思います。
まずはここからですね。
記事全体を通じても、登場するモデルケースの皆さんは、この基本線の上に立って、その先の独自のスタイルを構築しておられるようです。
自由、にもそこを超えてはいけない一定の枠組みがある、ということでしょうか。
せっかく綺麗に構成された記事に野暮な解説でしたが、念のため。
あ、それと随所にオーディオ機器のことを「ステレオ」と表記していて、それもなんかすごく懐かしい感じでよかったです。
今でも「ステレオ」っていう言い方するの?
CCCメディアハウス (2017-03-15)
雑誌のコーヒー特集って、だいたい「美味しいコーヒー」のトレンドはコレだ!みたいな切り口が多かったんですが、それってずいぶん雑なものの見方だなあって思ってたんですよ。
今回のPenは、きっぱりとコーヒーをテーマにしたインテリアやライフスタイルの紹介に徹していて気持ちいいです。
そういう意味では、インテリア特集ともいえる本記事に、中川ワニ夫妻を登場させるという編集が、またいい感じです。
中川ワニさんという人は、決まった店舗は持たずに自宅の一室に焙煎機を置き、全国の喫茶店や個人の方のオーダーに応えて焙煎して販売したり、奥様と一緒に全国を旅してコーヒー教室をやったりという、羨ましいくらい自由なコーヒー職人なんです。
確かに道具には一定のコダワリがありますが、スタイル優先ではありませんし、店舗がないのでインテリア要素はゼロですからね。
広い意味で、その自由なライフスタイルをコーヒーが実現させている、ということなんでしょう。
今回、記事を読むと奥様のお名前が京子さんになっていたんですが、コーヒー修行をしていた頃愛読していたワニさんの奥様の本の著者名は確か・・
そう、ちえさんでした。
改名?それとも離婚なさったんでしょうか。
まあ、どうでもいいですね。コーヒーには何の関係もない。
それと同じくらい焙煎士のこだわりなんぞ、味わう人には関係がないんだよ、と言わんばかりに記事には技術的な話は出てきません。
もともと、美味しいコーヒーを淹れるには、と問われて、
大事なことは
1,新鮮な豆を
2,そのつど挽いて
3,飲む分だけ淹れる
この3つだけです。
と言っていた人ですから。
まあ、実際この3つが揃わなかったら、挽き目とか温度とか器具とかにこだわっても仕方がないというのは本当のことだと思います。
まずはここからですね。
記事全体を通じても、登場するモデルケースの皆さんは、この基本線の上に立って、その先の独自のスタイルを構築しておられるようです。
自由、にもそこを超えてはいけない一定の枠組みがある、ということでしょうか。
せっかく綺麗に構成された記事に野暮な解説でしたが、念のため。
あ、それと随所にオーディオ機器のことを「ステレオ」と表記していて、それもなんかすごく懐かしい感じでよかったです。
今でも「ステレオ」っていう言い方するの?
2017年2月20日月曜日
自宅用小型焙煎機はスマート家電化して普及するか
パナソニックが自宅用の小型焙煎機を発売するという。
「The Roast」というサーヴィスで、生豆の販売とセットになっている。
焙煎の際、豆に応じて変更しなくてはならない火力調整や煎り上げの時間を、スマートフォンに読み込ませた「プロファイル」という設定で行うらしい。
そういう仕様だから、自分で生豆を調達して焙煎することはできないようだ。
そうまでして囲い込んで販売する生豆は、年間契約で、200グラム×3種類の豆が月一回送られてきて5,500円。
100グラムあたり900円以上するから、これはあまりに高価だ。
ラインナップされているのは、1キロあたり1,000円強程度の、ごく一般的でどの豆屋でも扱っている豆なので、相応の付加価値が欲しいところだ。
焙煎機自体も10万円という高価なものである。
→Panasonicサイト「The Roast」
ここで考えられる付加価値とは、当然、煎りたての豆でコーヒーを淹れて飲むことが出来る、というものだろう。
確かに、コーヒーは生鮮食料品ではある。
焙煎によって生じた可溶成分は、日に10%ほど分解して目減りしていくので、早く飲むに越したことはないわけだ。
が、世の中にはすでにオンデマンド・コーヒーというものがあり、お店で生豆を選んでその場で焙煎してもらい持ち帰るというタイプの店がある。
こういうお店で焼いてもらった豆でコーヒーを飲んでいる方は、二日目のほうがよく味が出る、という経験をしたことがないだろうか。
原因については諸説あるが、個人的には焙煎直後に激しく発生する炭酸ガスが抽出効率を下げているのではないかと思っている。
ということは、2~3日のタイムラグについては考えなくてもいいということになる。
こう考えていくと、この商品が価格に見合うものとは僕にはどうしても思えないが、企業では市場があると見ているのだろう。
僕ら自家焙煎コーヒー店が、まだまだ充分なサーヴィスを顧客に提供できていない、ということなのかもしれない。
「The Roast」というサーヴィスで、生豆の販売とセットになっている。
焙煎の際、豆に応じて変更しなくてはならない火力調整や煎り上げの時間を、スマートフォンに読み込ませた「プロファイル」という設定で行うらしい。
そういう仕様だから、自分で生豆を調達して焙煎することはできないようだ。
そうまでして囲い込んで販売する生豆は、年間契約で、200グラム×3種類の豆が月一回送られてきて5,500円。
100グラムあたり900円以上するから、これはあまりに高価だ。
ラインナップされているのは、1キロあたり1,000円強程度の、ごく一般的でどの豆屋でも扱っている豆なので、相応の付加価値が欲しいところだ。
焙煎機自体も10万円という高価なものである。
→Panasonicサイト「The Roast」
ここで考えられる付加価値とは、当然、煎りたての豆でコーヒーを淹れて飲むことが出来る、というものだろう。
確かに、コーヒーは生鮮食料品ではある。
焙煎によって生じた可溶成分は、日に10%ほど分解して目減りしていくので、早く飲むに越したことはないわけだ。
が、世の中にはすでにオンデマンド・コーヒーというものがあり、お店で生豆を選んでその場で焙煎してもらい持ち帰るというタイプの店がある。
こういうお店で焼いてもらった豆でコーヒーを飲んでいる方は、二日目のほうがよく味が出る、という経験をしたことがないだろうか。
原因については諸説あるが、個人的には焙煎直後に激しく発生する炭酸ガスが抽出効率を下げているのではないかと思っている。
ということは、2~3日のタイムラグについては考えなくてもいいということになる。
こう考えていくと、この商品が価格に見合うものとは僕にはどうしても思えないが、企業では市場があると見ているのだろう。
僕ら自家焙煎コーヒー店が、まだまだ充分なサーヴィスを顧客に提供できていない、ということなのかもしれない。
2016年10月26日水曜日
I like an analog way.
何度も書いているので耳に、ではなく目にタコができるかもしれないが、コーヒー業界でよく言われている「サード・ウェイヴ」というのは、アルビン・トフラーの名著「第三の波」からの引用だろう。
で、あればトフラーの「農業革命」「産業革命」「情報革命」に倣って意味を考える必要がある。
したがって、アメリカコーヒー業界におけるサード・ウェイヴも情報革命的な何かであり、代表格であるブルーボトル・コーヒーが、米アップルへの投資チームが事業展開に協力したことから名付けられたのを起源とみるのが妥当と思う。
ディジタル技術を使ったコーヒー粉砕技術をウリにした新しい企業などが後を続いており、着実に進化しているようだ。
とはいえカフェの仕事それ自体にはディジタルが入り込む要素はあまりない。
僕自身の仕事体験の原点は大学時代の貸しレコード屋のバイトにあるが、これは本当に楽しかった。
毎日ではないが、朝出勤するとダンボールで新譜が届いている日がある。
開けると、プリンスの新譜だあ!とかで気分が上がるが、これに一枚一枚セロファンのカバーを掛けなくてはいけないのがツライ。
ダブルフォールド(見開きジャケ)だったりすると、けっこうめんどくさいんだなあ、これが。
で、あればトフラーの「農業革命」「産業革命」「情報革命」に倣って意味を考える必要がある。
したがって、アメリカコーヒー業界におけるサード・ウェイヴも情報革命的な何かであり、代表格であるブルーボトル・コーヒーが、米アップルへの投資チームが事業展開に協力したことから名付けられたのを起源とみるのが妥当と思う。
ディジタル技術を使ったコーヒー粉砕技術をウリにした新しい企業などが後を続いており、着実に進化しているようだ。
とはいえカフェの仕事それ自体にはディジタルが入り込む要素はあまりない。
僕自身の仕事体験の原点は大学時代の貸しレコード屋のバイトにあるが、これは本当に楽しかった。
毎日ではないが、朝出勤するとダンボールで新譜が届いている日がある。
開けると、プリンスの新譜だあ!とかで気分が上がるが、これに一枚一枚セロファンのカバーを掛けなくてはいけないのがツライ。
ダブルフォールド(見開きジャケ)だったりすると、けっこうめんどくさいんだなあ、これが。
それができたら入荷したレコードに連番を振ってシールを作って貼る。
そしてアーティスト名、アルバム名、連番を台帳に転記する。
もちろん手書きである。
この台帳には、レンタルしたレコードが返ってくる度に返却日を記入することになっている。
だから返却されてきたレコードは一定数まで溜めておいて、まとめてスプレーを掛けて拭き、台帳につけるようにしていた。
台帳のレンタル数が一定の数になると複数枚の在庫があるレコードは販売に下ろされる。
これを狙って何枚かレコードを買ったなあ。先に買えるんだから店員が有利なんだ。悪いけどね。
今どきは、こんな作業もディジタルでパッパと済んでしまうんだろう。
でも手作業でやっていたからこそ、仕事の全体像が見えて楽しかった。
レコードも仕事もアナログが好みなんですね。
そしてアーティスト名、アルバム名、連番を台帳に転記する。
もちろん手書きである。
この台帳には、レンタルしたレコードが返ってくる度に返却日を記入することになっている。
だから返却されてきたレコードは一定数まで溜めておいて、まとめてスプレーを掛けて拭き、台帳につけるようにしていた。
台帳のレンタル数が一定の数になると複数枚の在庫があるレコードは販売に下ろされる。
これを狙って何枚かレコードを買ったなあ。先に買えるんだから店員が有利なんだ。悪いけどね。
今どきは、こんな作業もディジタルでパッパと済んでしまうんだろう。
でも手作業でやっていたからこそ、仕事の全体像が見えて楽しかった。
レコードも仕事もアナログが好みなんですね。
2016年6月6日月曜日
営業時間はお客様との大切な約束
僕の古い無印良品の自転車は、年に一回はパンクする。
今年もさっそく前輪が萎んだ。
いつもお世話になっている近所の小さなサイクルショップに、10時開店をホームページで確認して、10時をめがけて出かけた。
自転車を押してたどり着くと、「本日10時半開店」と貼り紙がしてあった。
そのまま自転車を押して帰ってきた。
調べるだけではなくて、電話もすればよかったのかもしれない。
しかし、それではあなたが掲げた営業時間は信用できないので、と言っていることになってしまう。
個人でやっていれば、どうしても繰り合わせのつかない用事ができてしまうこともある。
そんな時、休まざるを得ない店主はお客様にとても申し訳なく思っているものだ。
電話をしてわざわざ謝らせることもないだろう。
日を改めて行けばいいことだ。
それにつけても営業時間というのは、顧客と我々の基本的な「約束」なんだと思う。
2007年に開業した頃、僕もそのことがよくわかっていなくて、製造量の調節のためなどに時折営業時間を短縮したりしていた。
ある日、遠くからわざわざいらしたお客様からメールを戴き、この約束はとても大切なものだと気が付いた。
それでもやむなくその約束を違えざるを得ない状況というものはある。
小学校の運動会などは、親が食事を届けるということがプログラムとして組み込まれているので、どうにもならない。
なるべく店を閉めている時間を短くしようと、午前中だけお休みをいただいて、お弁当を届けて、午後から開店したりした。
そこまでしても、娘が小学校を卒業して3年以上経った今でも、他の日には何年も来ないのにわざわざ運動会の日を選んでやって来て、今日は運動会だから休みだと思ったわ、などと皮肉を言いに来るお客様もいらっしゃるくらいだ。
きっと閉めていた二時間の間にいらっしゃって、がっかりされたことがある方なのだろう。
個人で事業を営むことが難しい時代なんだと思う。
システマティックなビジネスモデルで運営された、便利で洗練されたサーヴィスに慣れた人たちは、個人の手によって作り出される温かいが、その代償としてお客様にも少しの不便を分けあっていただくぎこちない振る舞いに我慢できなくなるのかもしれない。
さいわい、わたしたちには、そのようなぎこちなさもこの店の魅力だと言ってくださるお客様がたくさんいらっしゃる。
大変ありがたい事だと思っております。
ですがそれに甘えず、営業時間はお客様との大切な約束であることを肝に命じてやってまいります。
今年もさっそく前輪が萎んだ。
いつもお世話になっている近所の小さなサイクルショップに、10時開店をホームページで確認して、10時をめがけて出かけた。
自転車を押してたどり着くと、「本日10時半開店」と貼り紙がしてあった。
そのまま自転車を押して帰ってきた。
調べるだけではなくて、電話もすればよかったのかもしれない。
しかし、それではあなたが掲げた営業時間は信用できないので、と言っていることになってしまう。
個人でやっていれば、どうしても繰り合わせのつかない用事ができてしまうこともある。
そんな時、休まざるを得ない店主はお客様にとても申し訳なく思っているものだ。
電話をしてわざわざ謝らせることもないだろう。
日を改めて行けばいいことだ。
それにつけても営業時間というのは、顧客と我々の基本的な「約束」なんだと思う。
2007年に開業した頃、僕もそのことがよくわかっていなくて、製造量の調節のためなどに時折営業時間を短縮したりしていた。
ある日、遠くからわざわざいらしたお客様からメールを戴き、この約束はとても大切なものだと気が付いた。
それでもやむなくその約束を違えざるを得ない状況というものはある。
小学校の運動会などは、親が食事を届けるということがプログラムとして組み込まれているので、どうにもならない。
なるべく店を閉めている時間を短くしようと、午前中だけお休みをいただいて、お弁当を届けて、午後から開店したりした。
そこまでしても、娘が小学校を卒業して3年以上経った今でも、他の日には何年も来ないのにわざわざ運動会の日を選んでやって来て、今日は運動会だから休みだと思ったわ、などと皮肉を言いに来るお客様もいらっしゃるくらいだ。
きっと閉めていた二時間の間にいらっしゃって、がっかりされたことがある方なのだろう。
個人で事業を営むことが難しい時代なんだと思う。
システマティックなビジネスモデルで運営された、便利で洗練されたサーヴィスに慣れた人たちは、個人の手によって作り出される温かいが、その代償としてお客様にも少しの不便を分けあっていただくぎこちない振る舞いに我慢できなくなるのかもしれない。
さいわい、わたしたちには、そのようなぎこちなさもこの店の魅力だと言ってくださるお客様がたくさんいらっしゃる。
大変ありがたい事だと思っております。
ですがそれに甘えず、営業時間はお客様との大切な約束であることを肝に命じてやってまいります。
2016年5月9日月曜日
アイスのカフェ・オ・レはございません
本当に時々だが、カフェ・オ・レ、アイスで。と頼まれることがある。
普通の喫茶店では普通にあるメニューなんだと思うが、当店にはございません。
カフェ・オ・レを冷たくすることは出来ないからだ。
なんとなれば、一度温めた牛乳をまたアイスで急速に冷やすことで、とんでもなく不味い乳脂肪のカタマリを作ることになってしまうから。
だから普通、濃く作ったコーヒー液を冷たいままの牛乳に混ぜることになる。
これってアイスコーヒーに牛乳入れただけでしょ。
字義に反したネーミングで呼ばれる気持ち悪さもさることながら、一度濃く作ったコーヒー液を氷で(つまり薄める方向で)冷やして、それをほぼ等量の牛乳と混ぜて飲料を作るという、間に合わせの対症療法の気持ち悪さが、それをメニューに載せることを思いとどまらせる。
正しいか、正しくないかというのではなく、生理的に許せるかどうか、という問題なのかもしれない。
1990年代に「シュルツの」(ココ重要)スターバックスが、産業としての歪なコーヒーフレーバー飲料を世界に広めるまで、冷たいコーヒーは比較的合理的なカタチで世界中で提供されてきた。
ラテンヨーロッパ圏ではエスプレッソの温かいカップに氷入りのグラスが一緒に提供される。
ゲルマン系では、温かいコーヒーの上にアイスクリームを載せて供される。
アメリカでは普通のホットコーヒーを氷入りグラスに入れて作る。
材料としての冷たいコーヒー液が生産されるようになって、飲料の世界はヴァラエティは得たのかもしれない。
しかし引き換えに失ったものも大きいと思う。
普通の喫茶店では普通にあるメニューなんだと思うが、当店にはございません。
カフェ・オ・レを冷たくすることは出来ないからだ。
なんとなれば、一度温めた牛乳をまたアイスで急速に冷やすことで、とんでもなく不味い乳脂肪のカタマリを作ることになってしまうから。
だから普通、濃く作ったコーヒー液を冷たいままの牛乳に混ぜることになる。
これってアイスコーヒーに牛乳入れただけでしょ。
字義に反したネーミングで呼ばれる気持ち悪さもさることながら、一度濃く作ったコーヒー液を氷で(つまり薄める方向で)冷やして、それをほぼ等量の牛乳と混ぜて飲料を作るという、間に合わせの対症療法の気持ち悪さが、それをメニューに載せることを思いとどまらせる。
正しいか、正しくないかというのではなく、生理的に許せるかどうか、という問題なのかもしれない。
1990年代に「シュルツの」(ココ重要)スターバックスが、産業としての歪なコーヒーフレーバー飲料を世界に広めるまで、冷たいコーヒーは比較的合理的なカタチで世界中で提供されてきた。
ラテンヨーロッパ圏ではエスプレッソの温かいカップに氷入りのグラスが一緒に提供される。
ゲルマン系では、温かいコーヒーの上にアイスクリームを載せて供される。
アメリカでは普通のホットコーヒーを氷入りグラスに入れて作る。
材料としての冷たいコーヒー液が生産されるようになって、飲料の世界はヴァラエティは得たのかもしれない。
しかし引き換えに失ったものも大きいと思う。
2016年4月30日土曜日
札幌の道路は怖い
カフェジリオの最も遠来の常連さんは静岡の方だが、例年、GWや夏冬の連休には欠かさず札幌観光にいらっしゃって、その度にうちにも寄ってくださる。
札幌市民としても、カフェジリオ店主としても大いに感謝申し上げる次第だ。
しかし、大変申し訳無い気持ちもある。
数年前、そのお客様が札幌市の肝いりでやっているレンタル・サイクル「えきチャリ」を利用して市内観光なさった際、なんと真駒内に向かう途中で、警察に職質をかけられたそうなのだ。
そのような職質は、通常盗難自転車を疑うために行うものだと思うが、えきチャリには遠目からでもわかるステッカーが貼ってあり、実際職質をかけてきた警官も認識をしていたそうだ。
えきチャリが盗まれたという届け出でもあったのかと思い、警官に聞いても、別にそういうわけでもないとのこと。
むう。観光都市を目指す札幌市の警察が観光客を不愉快にしてどうするのだろうか。
近所のスーパーに向かう途中、黄色から赤信号に変わる間際に停車しようと減速した車を対向車線から追い抜いて赤信号の交差点に突っ込んでいった車がいた。
舗道から見ていても身の危険を感じるほど、切迫した追い抜き行為だった。
スーパーに着くまでに前照灯が片側切れている車を2台見かけた。
ざっと7割ほどの自転車が車道を逆走していった。
Uターン禁止の上り下り4車線の幹線道路を道幅フルに使ってUターンしたタクシーがいた。
その広い道路の信号のない箇所を、覚束ない足取りで走って渡る高齢者を二人見た。
マンションの駐車場に停めるために短い距離ではあるが交差点近くの道路を逆走してあわや対向車と正面衝突か、という現場を見た。
スーパーの駐車場を通りすぎてしまって、バックで入り口まで戻ろうとした車が、後続車に追突された。
うん、今日はちょっと変なシーンに多めに行き当たった気もするが、どれもよく見るシーンではある。
東京で運転をおぼえた自分には札幌の道路はとても怖くて、他にもいろいろ理由はあるが、僕は車を手放してしまった。
交通事故死日本一も至極当然の帰結だと思う。
そしてそれを変えていく手段は、警察署の窓に安全運転のポスターを貼ることではなく、ましてや観光客の使う自転車をチェックすることでもないはずだ。
その常連さんも札幌が大好きで、長い休みの度に静岡から札幌に小旅行にいらっしゃっているのだ。
その大の札幌ファンに自信をもって「また来て下さい」と言える街にしたいよね、ぜひ。
札幌市民としても、カフェジリオ店主としても大いに感謝申し上げる次第だ。
しかし、大変申し訳無い気持ちもある。
数年前、そのお客様が札幌市の肝いりでやっているレンタル・サイクル「えきチャリ」を利用して市内観光なさった際、なんと真駒内に向かう途中で、警察に職質をかけられたそうなのだ。
そのような職質は、通常盗難自転車を疑うために行うものだと思うが、えきチャリには遠目からでもわかるステッカーが貼ってあり、実際職質をかけてきた警官も認識をしていたそうだ。
えきチャリが盗まれたという届け出でもあったのかと思い、警官に聞いても、別にそういうわけでもないとのこと。
むう。観光都市を目指す札幌市の警察が観光客を不愉快にしてどうするのだろうか。
近所のスーパーに向かう途中、黄色から赤信号に変わる間際に停車しようと減速した車を対向車線から追い抜いて赤信号の交差点に突っ込んでいった車がいた。
舗道から見ていても身の危険を感じるほど、切迫した追い抜き行為だった。
スーパーに着くまでに前照灯が片側切れている車を2台見かけた。
ざっと7割ほどの自転車が車道を逆走していった。
Uターン禁止の上り下り4車線の幹線道路を道幅フルに使ってUターンしたタクシーがいた。
その広い道路の信号のない箇所を、覚束ない足取りで走って渡る高齢者を二人見た。
マンションの駐車場に停めるために短い距離ではあるが交差点近くの道路を逆走してあわや対向車と正面衝突か、という現場を見た。
スーパーの駐車場を通りすぎてしまって、バックで入り口まで戻ろうとした車が、後続車に追突された。
うん、今日はちょっと変なシーンに多めに行き当たった気もするが、どれもよく見るシーンではある。
東京で運転をおぼえた自分には札幌の道路はとても怖くて、他にもいろいろ理由はあるが、僕は車を手放してしまった。
交通事故死日本一も至極当然の帰結だと思う。
そしてそれを変えていく手段は、警察署の窓に安全運転のポスターを貼ることではなく、ましてや観光客の使う自転車をチェックすることでもないはずだ。
その常連さんも札幌が大好きで、長い休みの度に静岡から札幌に小旅行にいらっしゃっているのだ。
その大の札幌ファンに自信をもって「また来て下さい」と言える街にしたいよね、ぜひ。
2016年3月21日月曜日
カフェジリオ、9周年を迎えました。
2007年3月21日に、この宮の森の地にカフェジリオを開店して、今日で丸9年になりました。ご愛顧頂きましたお客様や、支えていただいた関連各社の皆様に心より感謝申し上げます。
たった二人で運営しているこの小さな事業は、グローバルになってしまった世界経済の影響に翻弄され、食材と利益の確保に四苦八苦する日々ではありました。
人気商品を支えてくれていたチーズが生産中止になり、フランス製のカシスピューレが農薬の問題で輸入禁止になり、独特の風味を持つ生クリームを生産していた工場が閉鎖になり、味と価格のバランスのとれた希少なコーヒー豆はコーヒーメジャーに買い占められて高騰しました。
その度に代替え品を探し、調理法を工夫し、それでも凌ぎきれなくなって携帯電話を解約したり、自家用車を手放したりはしたものの、なんとかここまでやって来れました。
おかげさまで、としか言いようがありません。
僕がコーヒーの修行をした珈琲サイフォン社は昨年で90周年だったそうですから、まだその十分の一かと思うとその先の道程には目眩がしそうですが、我々の最初のDecadeの締めくくりの一年を頑張って参ります。
引き続きのご愛顧をよろしくお願い致します。
たった二人で運営しているこの小さな事業は、グローバルになってしまった世界経済の影響に翻弄され、食材と利益の確保に四苦八苦する日々ではありました。
人気商品を支えてくれていたチーズが生産中止になり、フランス製のカシスピューレが農薬の問題で輸入禁止になり、独特の風味を持つ生クリームを生産していた工場が閉鎖になり、味と価格のバランスのとれた希少なコーヒー豆はコーヒーメジャーに買い占められて高騰しました。
その度に代替え品を探し、調理法を工夫し、それでも凌ぎきれなくなって携帯電話を解約したり、自家用車を手放したりはしたものの、なんとかここまでやって来れました。
おかげさまで、としか言いようがありません。
僕がコーヒーの修行をした珈琲サイフォン社は昨年で90周年だったそうですから、まだその十分の一かと思うとその先の道程には目眩がしそうですが、我々の最初のDecadeの締めくくりの一年を頑張って参ります。
引き続きのご愛顧をよろしくお願い致します。
2016年3月19日土曜日
ミルをFUJIローヤルのみるっこDXに変更しました
先日、開店以来使ってきたカリタのコーヒーミル「ナイスカットミル」が壊れた。
モーターが焼き付いたようだ。
まる9年も毎日、この店で提供するほぼすべてのコーヒーを挽いてきたのだ。
お疲れ様でした。
しかし間の悪いことに、ナイスカットミルは廃番になることが発表されたばかりで、市場は在庫薄。
また、次期商品を開発中とのことで、そちらを待ちたい気もする。
先日発表されたばかりのナイスカットミルNEXT-Gもめっちゃ気になる。
とりあえず、10年前にKONO式珈琲塾を卒業した記念に買った、KONO特別仕様の富士珈機製「みるっこDXーR220」を使うことにした。
KONOのコーポレートカラー(というより社長の趣味)のイエローボディに、横っ腹にはKONOのロゴが入っている。
河野社長がカスタマイズした特性の臼刃がついているのがウリだったが、今は標準で選べるようになったようだ。
おまけに、堀口珈琲工房や、日本カフェブームの立役者、鎌倉の「ヴィヴモン・ディモンシュ」が、同じオフホワイトの特注カラーなんかを出していて(現在は品切れ中みたい)、なんかそっちの方がカッコいいじゃないか。
ま、でもやっぱこのエンジのがスタンダードでいいみたい。
強力で、回転の安定したモーターが入っていて挽き目が揃う優秀機なのだが、ひとつ大きな欠点がある。それがこの粉受け。
樹脂製で、盛大に静電気を発生する。
容器内に粉がびっしり貼り付いて落ちてこない。
これでは、客数をこなすことができない。
このミルは業務用を視野に入れてはいるが、もともと一杯分ずつ挽くことを想定していないのである。
それはこのカタログ写真を見ればわかる。
買ってきた豆を一度に全部挽いてしまうように、蓋ごと取れる容量の大きな粉受けと、大量の豆を素早く挽ける高速で強力なモーターを備えているのである。
しかし、現代のコーヒー店でこのような挽き方は考えられない。
一回分ずつ挽くために、このようなステンレス製のカップを使っている人が多いと思う。
これは、DULTONという会社のステンレス製マグカップで、KONO式珈琲塾を卒業した後にお世話になった堀口珈琲工房の教室で使っているのを見かけて買った。
開店した2007年当時、多くの喫茶店でこれを使っているのを見かけた。
カリタのナイスカットミルに高さがぴったりなのだ。
あまりにみんな使っているからだろう、ナイスカットミルのシルバー版が出た時には同様のステンレスカップに仕様変更された。
ところが、みるっこDXにはちょっと高さが足りない。
しかも超強力なモーターの風圧で粉が飛んでしまう。
粉を受けるときは、このようにカップを持ち上げて迎えにいかなくてはならない。
で、やっぱり強力なモーターの恩恵と引き換えに、静電気はやはり発生してステンレスでも粉はくっつきます。
淹れる時は、カップをよく叩いて、振って、粉をふるい落としてからフィルターに移しましょう。
モーターが焼き付いたようだ。
まる9年も毎日、この店で提供するほぼすべてのコーヒーを挽いてきたのだ。
お疲れ様でした。
しかし間の悪いことに、ナイスカットミルは廃番になることが発表されたばかりで、市場は在庫薄。
また、次期商品を開発中とのことで、そちらを待ちたい気もする。
先日発表されたばかりのナイスカットミルNEXT-Gもめっちゃ気になる。
とりあえず、10年前にKONO式珈琲塾を卒業した記念に買った、KONO特別仕様の富士珈機製「みるっこDXーR220」を使うことにした。
KONOのコーポレートカラー(というより社長の趣味)のイエローボディに、横っ腹にはKONOのロゴが入っている。
河野社長がカスタマイズした特性の臼刃がついているのがウリだったが、今は標準で選べるようになったようだ。
おまけに、堀口珈琲工房や、日本カフェブームの立役者、鎌倉の「ヴィヴモン・ディモンシュ」が、同じオフホワイトの特注カラーなんかを出していて(現在は品切れ中みたい)、なんかそっちの方がカッコいいじゃないか。
ま、でもやっぱこのエンジのがスタンダードでいいみたい。
フジローヤル
売り上げランキング: 144,354
売り上げランキング: 144,354
強力で、回転の安定したモーターが入っていて挽き目が揃う優秀機なのだが、ひとつ大きな欠点がある。それがこの粉受け。
樹脂製で、盛大に静電気を発生する。
容器内に粉がびっしり貼り付いて落ちてこない。
これでは、客数をこなすことができない。
このミルは業務用を視野に入れてはいるが、もともと一杯分ずつ挽くことを想定していないのである。
それはこのカタログ写真を見ればわかる。
買ってきた豆を一度に全部挽いてしまうように、蓋ごと取れる容量の大きな粉受けと、大量の豆を素早く挽ける高速で強力なモーターを備えているのである。
しかし、現代のコーヒー店でこのような挽き方は考えられない。
一回分ずつ挽くために、このようなステンレス製のカップを使っている人が多いと思う。
これは、DULTONという会社のステンレス製マグカップで、KONO式珈琲塾を卒業した後にお世話になった堀口珈琲工房の教室で使っているのを見かけて買った。
開店した2007年当時、多くの喫茶店でこれを使っているのを見かけた。
カリタのナイスカットミルに高さがぴったりなのだ。
あまりにみんな使っているからだろう、ナイスカットミルのシルバー版が出た時には同様のステンレスカップに仕様変更された。
ところが、みるっこDXにはちょっと高さが足りない。
しかも超強力なモーターの風圧で粉が飛んでしまう。
粉を受けるときは、このようにカップを持ち上げて迎えにいかなくてはならない。
で、やっぱり強力なモーターの恩恵と引き換えに、静電気はやはり発生してステンレスでも粉はくっつきます。
淹れる時は、カップをよく叩いて、振って、粉をふるい落としてからフィルターに移しましょう。
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![Pen(ペン) 2017年 4/1号 [コーヒーと暮らす家。]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51Aaw2TH90L.jpg)


