さあ、お湯と粉は準備ができた。さっそく入れてみよう。フィルタにペーパーをセットしてその中に入れる。そしてここが最初のポイントだが、粉を出来るだけ平らにしよう。左右に、えっそんなに?というくらい強く速く振ると平らになる。これはとても大事なので何度も練習しよう
平らになったら、お湯を注ぐ。ここで第二のポイントだが、正確に真ん中にだけ、あくまでも「滴(しずく)」をぽたぽたたらすのだ。そうすると、粉が新鮮なものであれば、炭酸ガスが発生し膨らんでくる。
真ん中にハンバーグみたいなのが乗っているのがみえるだろうか。これが外周部に達するまでポットを回さずにただひたすらに真ん中にポタポタやり続ける。と、こうなる。
外周部に達した時、コーヒーの最初の一滴がぽとりと落ちるのが理想。均等に広がらないと先に外側を伝って薄い液が落ちてしまう。あくまでも中心部の「長い」距離を使ってコーヒーのエキス分を抽出したいのだ。だから厳密に表面を平らにしておく必要があったというわけ。またこの膨らみは湯をその全体に抱え込んでじっくりフィルタ内の粉全体に湯を行き渡らせる役割を担っており、その意味でも豆の鮮度や、挽きたてであることが重要なのだ。
さて、この時、一般に言われているような「蒸らし」は絶対にしてはいけない。一度湯に漬けた粉を放置しておくのは灰汁成分の発生を助長するので厳禁だ。500円玉くらいの大きさを目処に中心から「の」の字を書くようにポットを回しながらお湯を入れていく。40%くらいの量まではゆっくりと、それ以降は少しお湯を多めにして入れていく。湯面が、フィルタの一番上から下に下がらないように、常にお湯がいっぱいフィルタに入ったままにしておくのだ。結果的に、スピードを変化させながら間断なく湯を注ぎ続けることになる。この加減でも味が変わっていく。最後までゆっくり入れていると、苦味の勝った味になる。一度にたくさん入れると味が薄まる。このあたりは試行錯誤でやっていくしかないだろう。
そして欲しい量が抽出できたら、湯がいっぱい入った状態で外す。
塾ではカップを用意しておいてそこに移動させたが、サーバーを持って流しの上で外してもいいだろう。
しばらくすると、湯が全部おちて粉が姿を現す。
このようにきれいなスリコギ状になれば成功。ゆっくり入れすぎると平らになってしまい、美味しい部分が抽出不足で苦味の勝った味になってしまう。真ん中に白く見えているのが灰汁だ。これをサーバーに落とさないために間断なく湯を注いできたのだ。
これでコーノ式コーヒーが完成した。
カリタもメリタもこのやり方で今までよりも純度の高いコーヒーが抽出できると思う。ドリップ系の器具をお持ちの方はぜひためしてみていただきたい。
次回はドリップ以外ではメジャーなサイフォンとフレンチプレスについて(ごく)簡単に(ではあるが)ご説明したいと思う。