2017年2月20日月曜日

自宅用小型焙煎機はスマート家電化して普及するか

パナソニックが自宅用の小型焙煎機を発売するという。

「The Roast」というサーヴィスで、生豆の販売とセットになっている。
焙煎の際、豆に応じて変更しなくてはならない火力調整や煎り上げの時間を、スマートフォンに読み込ませた「プロファイル」という設定で行うらしい。
そういう仕様だから、自分で生豆を調達して焙煎することはできないようだ。

そうまでして囲い込んで販売する生豆は、年間契約で、200グラム×3種類の豆が月一回送られてきて5,500円。
100グラムあたり900円以上するから、これはあまりに高価だ。
ラインナップされているのは、1キロあたり1,000円強程度の、ごく一般的でどの豆屋でも扱っている豆なので、相応の付加価値が欲しいところだ。
焙煎機自体も10万円という高価なものである。

Panasonicサイト「The Roast」

ここで考えられる付加価値とは、当然、煎りたての豆でコーヒーを淹れて飲むことが出来る、というものだろう。
確かに、コーヒーは生鮮食料品ではある。
焙煎によって生じた可溶成分は、日に10%ほど分解して目減りしていくので、早く飲むに越したことはないわけだ。

が、世の中にはすでにオンデマンド・コーヒーというものがあり、お店で生豆を選んでその場で焙煎してもらい持ち帰るというタイプの店がある。
こういうお店で焼いてもらった豆でコーヒーを飲んでいる方は、二日目のほうがよく味が出る、という経験をしたことがないだろうか。

原因については諸説あるが、個人的には焙煎直後に激しく発生する炭酸ガスが抽出効率を下げているのではないかと思っている。
ということは、2~3日のタイムラグについては考えなくてもいいということになる。

こう考えていくと、この商品が価格に見合うものとは僕にはどうしても思えないが、企業では市場があると見ているのだろう。
僕ら自家焙煎コーヒー店が、まだまだ充分なサーヴィスを顧客に提供できていない、ということなのかもしれない。