2016年5月9日月曜日

アイスのカフェ・オ・レはございません

本当に時々だが、カフェ・オ・レ、アイスで。と頼まれることがある。
普通の喫茶店では普通にあるメニューなんだと思うが、当店にはございません。

カフェ・オ・レを冷たくすることは出来ないからだ。
なんとなれば、一度温めた牛乳をまたアイスで急速に冷やすことで、とんでもなく不味い乳脂肪のカタマリを作ることになってしまうから。

だから普通、濃く作ったコーヒー液を冷たいままの牛乳に混ぜることになる。
これってアイスコーヒーに牛乳入れただけでしょ。

字義に反したネーミングで呼ばれる気持ち悪さもさることながら、一度濃く作ったコーヒー液を氷で(つまり薄める方向で)冷やして、それをほぼ等量の牛乳と混ぜて飲料を作るという、間に合わせの対症療法の気持ち悪さが、それをメニューに載せることを思いとどまらせる。

正しいか、正しくないかというのではなく、生理的に許せるかどうか、という問題なのかもしれない。


1990年代に「シュルツの」(ココ重要)スターバックスが、産業としての歪なコーヒーフレーバー飲料を世界に広めるまで、冷たいコーヒーは比較的合理的なカタチで世界中で提供されてきた。

ラテンヨーロッパ圏ではエスプレッソの温かいカップに氷入りのグラスが一緒に提供される。
ゲルマン系では、温かいコーヒーの上にアイスクリームを載せて供される。
アメリカでは普通のホットコーヒーを氷入りグラスに入れて作る。

材料としての冷たいコーヒー液が生産されるようになって、飲料の世界はヴァラエティは得たのかもしれない。
しかし引き換えに失ったものも大きいと思う。

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