今朝は「マラウイ」と「エルサルバドル」の焙煎をしておりました。
マラウイ・ミスク・チノンゴAA |
エルサルバドル・サンタ・リタ農園 |
パナマのエスメラルダ農園で、耳慣れない「ゲイシャ」という品種の豆がカップ・オブ・エクセレンスを受賞して話題になりましたが、そのずっと前からゲイシャ種を栽培していた国です。
もとは、エチオピアのゲシャ村で発見された変異種ですね。
古い品種ならではのパンチの効いた味が魅力です。
グァテマラの隣国エルサルバドルのサンタ・リタ農園は、中米ではもう作っているところの少なくなったブルボン種を丁寧に作り続けている数少ない農園のひとつ。最近ハイブリッドの栽培品種が増え、味の濁りが感じられるようになったグァテマラのセカンド・チョイスとしてお勧めできます。
この二種のコーヒーは今年のカフェジリオ開店10周年記念リニューアルで、新たにレギュラー入りした豆なのですが、それまでも月替りで特設コーナーに置いて販売していました。
不思議なことに、出せば必ず買っていかれたお客さまも、なぜかレギュラー商品になると、ご案内してもお買いにならなくなります。
書店ではよく知られる「面陳」効果です。
棚に陳列するさい、表紙が見えるように並べるのを「面陳」、背表紙が見えるように並べるのを「背刺し」といいますが、こんなことで驚くほど売れ行きが違うそうです。
先日もレンタルDVD店で、中井貴一さんの「グッドモーニング・ショー」という映画が新作コーナーに面陳されていて、それがいつ行っても全巻レンタル中でした。
こんなに人気があるならもっと入荷すればいいのに、と思っていたのですが、二週間後背刺しに移行した瞬間から一巻も借りられていない、という気の毒にもわかり易すぎる結果になっていました。
純粋に味だけでコーヒーを選んで欲しい、という想いから原価にかかわらず価格だって500円に統一しているのです。面陳だから売れる、というのでは悲しい。
きっとその肝心の味がうまく伝えられていないのでしょう。
しかし、これが難しい。
コーヒーの神様、と呼ばれた襟立氏(伝説の名店「もか」の標さんのお師匠さん)のご長男がやっておられた宮の森の「リヒト」(現在は閉店)では、すべてのコーヒー豆の説明書きに、「苦くも酸っぱくもありません」とだけ書かれていました。
知れば知る程、言葉にできなくなるのが珈琲の味なんです。
ましてや酸っぱいとか苦いとかは、焙煎度の差に過ぎず、本来のコーヒーの属性ではない。
今は、「ローストナッツ」や「チョコレート」「花」「柑橘」といったアロマの傾向で表現するのが主流ですが、これも飲み慣れない人には伝わりにくいですし、少なくない人がそういうフレーバーを付けたコーヒーと勘違いされたりします。なにかうまい方法はないものか、もう少し考えてみたいと思います。
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