2013年2月12日火曜日

低温投入法の是非、の前に カフェジリオ・コーヒーストーリー part-3

なんとかKONO式珈琲塾を修了したものの、このまま開業して成功するような気はまったくしなかったので、単発の喫茶店開業講座にいくつか参加してみました。

そのうちのひとつ、堀口珈琲工房を主宰される堀口氏の講座を受けた時、河野社長のお父さんに抽出を習ったという話を聞いて、俄然興味が湧いて、今度は堀口氏のセミナーに参加することにしました。

この抽出講座からは実に多くのことを学びました。
「ドリップは重力の力で湯を豆に通す」という言葉が、それまで河野塾でやってきた技術のすべてに明快な裏付けを与えてくれました。
「灰汁が出てくるのは、1分半から」という言葉が、ドリップのスピードを明快に決定付けました。
「エマルジョン=乳化現象」という言葉が、必要な湯の温度を確定させました。(このあたり詳しくは、当ブログの「おいしいコーヒーの入れ方」ラベルで御覧ください)

こんな言葉ひとつで、今までどうしても安定しなかったドリップが、すぐにピシっと決まるようになるのですから、不思議なものです。

練習のための明快な指針を得て、抽出に関しては目処がついたと感じていました。


問題は焙煎です。

河野塾では、まず釜に200℃の予熱をかけたあと、釜の火を消して豆を入れずに92℃まで冷まします。
で、釜が冷えたら豆を投入し、再度加熱を始めます。約20分ほどかけて焼き上げますが、その間、火の強さは徐々に強くしていき、豆が大きく膨らんでいくタイミングで火力を最大に。その後、ピチピチいいながら多孔質化していく段階では極弱火で仕上げていきます。
釜の中の空気量を調整するダンパーの操作も頻繁で、150度に達するまでは60%解放。豆が膨らんでいく工程では40%解放まで絞込み、多孔質化の工程で今度は80%まで解放し、最終段階で100%解放します。

その後、焙煎機メーカーにおじゃまして、いろいろな焙煎士さんのデータを見せて頂きましたが、こんなに釜を頻繁に操作するケースはなく、大抵は火力とダンパーの解放量は、釜の容量における生豆投入量の占有率で決めて、最初から最後まで固定でいくことが多いのです。

また、豆の投入は、予熱をかけた200℃の状態で行われるのが普通で、冷めるまで待ったりはしません。あまつさえ、一品種焙煎した余熱を次の品種の焙煎につかうべく、豆を釜から出した後、すぐに次の豆を投入することが推奨されています。
この方法は、確かに効率がよく、全体の作業が短時間で終わります。
しかし、ここにこそ河野社長のこだわりがあり、だからこそ、この焙煎法を「低温投入法」と呼んでいるくらいです。

では、その味への影響度というのはどれほどのものなのでしょうか。
それを確かめるのは実に難しいのです。

何故なら、結局のところの珈琲の焙煎の成否を決める最大のポイントは、どこまでいっても「どこで煎り止めるのか」にかかっているからで、如何に途中の釜の操作に神経を使っても、最後の煎り止めのポイントを正しく見極められなければ結果は失敗。
しかも、その煎り止めは、5秒違えばまるっきり味が違ってしまうという、極めてデリケートなものでした。

まずは、ここをマスターする必要がある。
しかし、習っている間中、遅い!だの、早い!だのと言われて体得できるようなものではないような気がして、今度は焙煎法に絞って、セミナーを探してみました。
で、見つけたのが旭屋出版さんが主催される中野弘志さんという方のセミナー。

この3時間ほどのセミナーで僕の目から落ちた鱗の数は何枚だったか。
「焙煎に浅煎りも深煎りも無い」とか、「ブレンドは作品だ。せっかくだからストレートを、などと言われない店を目指せ」とか、漠然と疑問に思っていたことに対する理知的でストレートな解答がドバドバ飛んでくるではありませんか。
そして、最後に「結局、焙煎の成否は煎り止めで決まる。そしてそれは適切な指導者の付き添いの元たくさんの焙煎をこなすしかない」ときて、希望者には私が二日間つきっきりで、ご指導いたします」とおっしゃるではないですか!
それそれ、それだよー、と思いながら資料に目を落とすと、「焙煎講座二日コース、二十万円」とあるではないですか!!

二十万・・
え?どうしたかって?
それは次回のお楽しみ。

...to be continued.


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